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治療方法

骨の代謝

骨粗鬆症の治療の目的は、合併症である骨折のリスクを低下させ、健全な骨格を維持することです。治療は、食事、運動、薬物療法から成っています。食事療法では、骨量を増やすためのCa摂取が不可欠です。また、摂取したCaを効率よく骨に蓄積するためにビタミンDやビタミンKなどの補給が必要になります。控えるべきものとしては、リンやNa、アルコールが挙げられます。運動療法では、骨量の維持・増加による骨粗鬆症の改善や、筋力増加による転倒予防で骨折のリスクを低下させることを目的としています。ただし、骨粗鬆症と診断された患者さんは、骨折しやすく、また運動能力も低下していることが多いので、体力に合った運動を習慣づける必要があります。

骨の代謝マーカー

骨代謝マーカーには大きく分けて「骨形成マーカー」と「骨吸収マーカー」があります。
測定の意義は・近い将来の骨密度低下率の予測・骨密度と独立した危険率判定・薬物治療開始時の薬物選択・薬物治療開始早期のその薬効に判定する指標・薬剤コンプライアンスの向上がある。
骨代謝マーカーの測定は血清もしくは尿を用います。測定値は日内変動に大きく影響を受け、早期起床時に最も高値になります。特に尿中マーカーの変動が大きく、腎機能低下や筋肉量などでも影響を受けます。腎機能低下した高齢者に注意が必要です。

薬物治療

治療薬の作用は、大きく分けて骨吸収抑制と骨形成促進薬、疼痛に対する治療の3通りに分けられます。骨吸収抑制薬は、骨吸収のほうが増大している閉経後骨粗鬆症(高代謝回転型)に対して主に用いられ、骨形成促進薬は、骨形成のほうが減少している老人性骨粗鬆症(低代謝回転型)に対して主に用いられます。

  1. 骨吸収抑制薬であるエストロゲン、SERM(サーム)、ビスホスホネート製剤は破骨細胞を阻害することで骨吸収を抑制します。エストロゲンには骨形成を促進する作用もあります。
  2. 骨形成促進薬であるビタミンK2製剤は骨形成を促進し、活性型ビタミンD3製剤は腸管からのCa吸収を促進します。
  3. 最後にカルシトニン製剤は、骨吸収抑制と骨形成促進の両方の作用に加え、中枢性の鎮静作用もあるため、疼痛の緩和にも有効です。

ビスホスホネート製剤

1.ビスホスホネート製剤が骨の表面に沈着し
 →2.破骨細胞が骨の表面に接着し骨吸収が始まり
  →3.骨吸収時のpH低下に伴い、薬剤が遊離し始めます
   →4.薬剤が破骨細胞に取り込まれる破骨細胞を不活化する
     →5.破骨細胞のアポトーシスを誘導し骨吸収機能を抑制する食事中のCaやMgと不溶性のキレートを形成して吸収が低下するため、空腹時に投与します。また、食道に長く滞留すると食道障害などのおそれがあるので、コップ1杯の水で服用し、服用後30分間は横にならないように指導する必要があります。

http://blog.livedoor.jp/pharma_di/archives/51486944.html

エストロゲン製剤

エストロゲン製剤は、閉経後に減少するエストロゲンを補充することによって、骨吸収を抑制し、骨形成を促進する作用があります。しかし,副作用として女性器発がんのリスクの増加するため、現在ではあまり使用されなくなっています。エストロゲン製剤に代わる薬剤として開発されたのが、SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)です。女性の閉経後骨粗鬆症に第一選択となりつつあります。骨に対してはエストロゲン様作用を発揮し、骨吸収を抑制しますが、女性器に対するエストロゲン作用は弱いため、発がん性が低いという特徴があります。

骨形成促進薬

骨形成を促進する薬について説明します。一つ目に、活性型ビタミンD3製剤があります。これは、腸管からのCaの吸収促進と、腎臓でのCa再吸収促進により血清Ca値を維持し、骨のリモデリングを活性化します。二つ目に、ビタミンK2製剤があります。ビタミンK2製剤には骨のたんぱく質であるオステオカルシンの生成を促進することで骨形成を促進し、また、骨吸収を抑制する作用もあります。ビタミンKは脂溶性ビタミンであるので、食後に服用する必要があります。

副甲状腺ホルモン製剤のテリパラチドは骨形成促進薬として使用可能な薬剤である。副甲状腺ホルモンは、本来は、破骨細胞に作用して骨吸収を促進し、血中Ca濃度を上昇させるため、持続投与により骨量は減少してしまいますが、間欠投与すると骨芽細胞前駆細胞に働き骨形成促進作用によって骨量が増加することが報告されております。骨形成促進作用は、骨芽細胞の分化の促進と、骨芽細胞の細胞死を抑制することで発揮されます。

その他の薬

ヒト化抗RANKL抗体のデノスマブは当初多発性骨髄腫や固形ガン骨転移による骨病変に対する治療薬として認可されましたが、今年の6月に骨粗鬆症治療薬としても認可されました。骨芽細胞表面に存在する破骨細胞の活性化に必要なRANKLを捕捉することによって破骨細胞の活性化を抑制します。骨粗鬆症に対しては1回60mgを6ヶ月に1回皮下投与します。投与により活性化破骨細胞の減少により、骨吸収が低下し、低カルシウム血症が副作用として起こることがあり、低カルシウム血症の患者には使用できません。またカルシウム、ビタミンDを補充して低カルシウム血症の発症を防止することが必要になります。

カルシウム薬

骨に必要なカルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンの分泌亢進で骨吸収が亢進され、骨量が減少します。カルシウム薬の骨折抑制作用は他の薬剤に比べ弱く、QOLに対する効果も認められていません。
カルシウム薬を服用するときに注意として、胃腸障害や便秘を起こすことがあります。活性ビタミンD薬と併用する場合、高カルシウム血症を併発する可能性があります。またカルシウムの過剰摂取に注意が必要です。食事からの摂取とカルシウム薬投与の総量で1日1000mg程度が良いとされています。

骨粗鬆症の予後

骨粗鬆症は、50歳代では10人に1人、60代で3人に1人、70代では2人に1人が患っているといわれます。その内、骨折する人は65~75歳が30%、80歳以上が45%を占めています。患者数の全体は正確には把握できていませんが、危険域にある人を含めて1,200万人とされ、そのうちの1~2割の人しか治療を受けていないといわれます。
骨折により生命予後に影響を及ぼすということもわかっています。特に、大腿骨近位部骨折では、受傷後1年間の死亡率は10~35%とされています。1にも示されているように、大腿骨近位部の骨密度の低下とその後の生存率には有意な因果関係が認められます。


平成22年国民生活基礎調査

Suzuki T ,Yoshida H. Low bone mineral density at femoral neck is a predictor of increasedmortality in elderly Japanese women. Osteoporos Int. Jan;21(1):71-9.

骨折により生命予後に影響を及ぼすということもわかっています。特に、大腿骨近位部骨折では、受傷後1年間の死亡率は10~35%とされています。1にも示されているように、大腿骨近位部の骨密度の低下とその後の生存率には有意な因果関係が認められます。

参考文献等

 

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